駅前の店がすべて消えた「京成立石」──“失敗が許されない再開発”で揺らぐ下町文化と、コスト増・訴訟が示す構造的リスク
京成立石駅北口の再開発は、710戸のタワーマンションや葛飾区役所移転、バスロータリー整備を含む大規模事業だ。建設費は2024年時点で約1186億円に膨張し、住民の反発やテナント運営の複雑化も指摘される中、下町の賑わいをどう維持するかが問われる。
京成立石駅の北口再開発

2025年11月1日、京成立石駅北口で「立石駅北口地区第一種市街地再開発事業」が始まった。竣工は2029年を予定している。西側には地下2階・地上36階建て、710戸のタワーマンションが完成し、商業施設も併設される。東側には葛飾区役所が入る13階建ての建物が建つ計画だ。両者の間にはバスロータリーも設置され、これまで不便だったバスと鉄道の乗り換えがスムーズになる見込みだ。
京成立石駅周辺の商店街は、「1000円でべろべろに酔える」と称される“せんべろ”の街として都内でも知られていた。メディアへの露出も多く、全国的に名が知られる場所であった。しかし、道路は狭く、救急車を含む自動車の走行に不便という課題を抱えていた。老朽化した木造建築も多く、地震や火災に対する防災面の不安も残されていた。
こうした課題を背景に、耐震性に問題があった葛飾区役所の移転を含めた再開発計画が動き出した。2023年9月から建物の解体が始まり、一通りの解体作業が終わったところで、再開発ビルの建設が開始された。南口についても、商店街を取り壊して新たな商業施設を建設する計画が2件進行中だ。
最終的には北口と合わせて、計3棟のタワーマンションを中心とした高層建築群が整備される見通しだ。