プレリュード「販売計画の8倍」の衝撃! 一過性の高額販売が浮き彫りにする“若年層ばっさり”のジレンマ

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ホンダ新型プレリュードは発売1か月で受注2400台、計画の約8倍に達した。最低価格617万円、購入層は50~60代中心で、若年層は手が届かない現実が浮かぶ。スペシャリティカー復権はノスタルジー需要だけでなく、国内所得停滞や供給制約といった構造的課題も映し出す試金石となっている。

高額復活のプレリュード

プレリュード(画像:本田技研工業)
プレリュード(画像:本田技研工業)

 筆者(北條慶太、交通経済ライター)は先月、当媒体に「「昔はバイトで買えたのに」 新型プレリュード617万円、高額設定にネット反発で若者は遠のくのか?」(2025年9月6日配信)という記事を寄稿した。

 平均年収がほぼ横ばいのまま30年が過ぎるなか、ホンダが復活させたプレリュードは、最低価格でも617万円という高水準に達している。かつてアルバイトで手が届いたデートカー(若者が恋人とのデートに使うための、比較的手頃で乗りやすい自動車)は、今や

「年収の約1.3倍の価格」

になってしまった。若者とスペシャリティカー(走りやデザイン、個性に特化した自動車)の距離は広がる一方である。

 技術投資や世界市場戦略、円安・物価高などの構造的要因に加え、国内所得の停滞が自動車文化を細らせる現実が浮き彫りになっている。しかし、新型プレリュードは発売からわずか1か月で受注2400台に達した。計画の

「約8倍」

にあたる数字である。ホンダが想定した“静かな復活”は、一転して需要の爆発という結果を招いた。

 この想定外の人気は、ノスタルジー需要だけを意味するわけではない。日本市場では久々にスペシャリティカーの再評価が進んでいる。皮肉にも受注停止措置が必要となるほど、供給体制の限界も露呈した。好調の裏には、

「計画と現実の乖離」

という構造的課題が潜んでいるのである。

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