プレリュード「販売計画の8倍」の衝撃! 一過性の高額販売が浮き彫りにする“若年層ばっさり”のジレンマ

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ホンダ新型プレリュードは発売1か月で受注2400台、計画の約8倍に達した。最低価格617万円、購入層は50~60代中心で、若年層は手が届かない現実が浮かぶ。スペシャリティカー復権はノスタルジー需要だけでなく、国内所得停滞や供給制約といった構造的課題も映し出す試金石となっている。

若年層離れの構造リスク

プレリュード(画像:本田技研工業)
プレリュード(画像:本田技研工業)

 ホンダの戦略の真意には、課題も潜む。

 ホンダといえば、中年以上には

・シビック
・アコード
・プレリュード

の名が浮かぶ。これらの車は、ホンダの技術研究所としての「走りの系譜」を象徴している。近年の

「スポーツタイプ多目的車(SUV)偏重からの脱却」

を狙う意思も見える。しかし、生産体制、販売網、購買層のすべてが短期回収型の構造になっている。前述のとおり、支払能力の高い中年層がいる間に売り切ろうという戦略である。マーケティング戦略として必ずしも悪くないが、中長期的な次世代顧客との接点は失われつつある。

 各社の名車復活戦略は、支払能力のある中高年がいる間は続くと考えられる。経営的にはこうした凌ぎもやむを得ないが、刹那的であることは否めない。

 一方、国内市場の再設計は急務である。分断された若年層の購買機会減少は、将来のブランド忠誠度低下に直結する。

「ノスタルジーで稼ぎ、未来を失うジレンマ」

が顕在化している。若者の車離れは確実に進行している。クルマのサブスクサービス事業者、KINTOの調査では、都内在住の22~25歳の80%が自分名義の自動車を所有していない。一方、地方では同年齢層の約7割が所有している。人口の多い大都市では、サブスクもあり、車が一層売れなくなっている。免許を持っても乗らない若者が増えている。本質的課題はクルマ文化の継承ではなく、

「アクセス可能な価格帯」

の再構築だろう。

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