プレリュード「販売計画の8倍」の衝撃! 一過性の高額販売が浮き彫りにする“若年層ばっさり”のジレンマ

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ホンダ新型プレリュードは発売1か月で受注2400台、計画の約8倍に達した。最低価格617万円、購入層は50~60代中心で、若年層は手が届かない現実が浮かぶ。スペシャリティカー復権はノスタルジー需要だけでなく、国内所得停滞や供給制約といった構造的課題も映し出す試金石となっている。

二極化市場に響く車

 なぜ新型プレリュードの需要が計画の8倍に達したのか。その背景を分析する。

 ホンダ関係者によると、新型プレリュードの主な購買層は

「50代から60代」

である。新規購入だけでなく、セカンドカーとしての需要も見られる。若いころにプレリュードに乗った世代が、自分への“ご褒美”として再び購入するケースが多いという。

 厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、50代の近年の平均年収は約590万円である。新型プレリュードの購入層となる50~60代では、平均年収700万~900万円の層も多い。貯蓄余力も考慮すると、彼らが購買層のボリュームゾーンと推定できる。国民平均給与が国税庁データで460万円であることを考えると、

「階層的な市場構造の乖離」

が明確に見える。

 新型プレリュードは、新規購入だけでなく、セカンドカーとして購入する人も現れた。支払能力の高い層に響くスペシャリティカーである。若年層は依然として購入困難層に留まる。需要の中心は余裕ある中高年であり、消費の二極化が高級クーペ市場を支えていることも窺える。

 前述のとおり、価格帯は617万円からである。ホンダ関係者によれば、非日常的な高級感と同時に、

「実用性や機能性にも優れる点が評価されている」

という。スペシャリティなスポーツカーらしいデザインは、ワイド&ローの伸びやかなプロポーションを持つ。クーペながら、スーツケースやゴルフバッグが積める開口部の広いテールゲート式荷室を備えており、実用性も高い。日常での使い勝手の向上は、高齢ユーザーにとっても魅力となっている。

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