プレリュード「販売計画の8倍」の衝撃! 一過性の高額販売が浮き彫りにする“若年層ばっさり”のジレンマ

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ホンダ新型プレリュードは発売1か月で受注2400台、計画の約8倍に達した。最低価格617万円、購入層は50~60代中心で、若年層は手が届かない現実が浮かぶ。スペシャリティカー復権はノスタルジー需要だけでなく、国内所得停滞や供給制約といった構造的課題も映し出す試金石となっている。

成熟層支えるリバイバル

本田技研工業のウェブサイト(画像:本田技研工業)
本田技研工業のウェブサイト(画像:本田技研工業)

 Honda S+ Shiftは、モーター駆動ながら有段シフトのようなダイレクトな駆動レスポンスと鋭いシフトフィールを実現し、運転の楽しさに直結している。CIVIC TYPE Rに採用されるデュアルアクシス・ストラットフロントサスペンションやアダプティブ・ダンパー・システムも大きな見どころである。

 搭載技術は

・e:HEV
・Honda S+ Shift
・タイプR系シャーシ
・安全機能

といった魅力的な要素と、日常での機能性や実用性が融合している。原材料価格の高騰、為替の変動、国内開発コストの高止まりなどの課題もあるが、技術的コストの増加はブランド価値で吸収されている部分が大きい。実際には、高価格を正当化するというより、

「高価格でなければ成立しない構造」

で仕上がっている。支払い能力の高い中高年がその出来栄えに納得し、一定数(当初は月300台)を購入すれば戦略として成立することが見て取れる。

 最近の高齢者研究では、高齢者が「生きた証」を求める傾向が明らかになっている。自分の生きた証やステータスとして車を運転する自分を重要視する人もいる。こうしたなかで、高級で購入できなかった人たちが支払能力を得て、かつての憧れを今の自分として実現するケースもある。まさに

「かつての憧れを今の自分へ」

という再帰的マーケティングが成立するのである。

 バブル期のデートカーを経験した層が、自己報酬的に消費する傾向が強まっている。若者ではなく、成熟層による青春のリバイバル投資が、計画の8倍の販売を生んだ潜在購買層の顕在化につながったのである。

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