プレリュード「販売計画の8倍」の衝撃! 一過性の高額販売が浮き彫りにする“若年層ばっさり”のジレンマ
ホンダ新型プレリュードは発売1か月で受注2400台、計画の約8倍に達した。最低価格617万円、購入層は50~60代中心で、若年層は手が届かない現実が浮かぶ。スペシャリティカー復権はノスタルジー需要だけでなく、国内所得停滞や供給制約といった構造的課題も映し出す試金石となっている。
少量高価戦略の罠
スペシャリティカー復権の成功は、一方で歪んだ側面も持つ。
20代から30代の新車購入比率は、1995(平成7)年の約35%から現在では
「10%以下」
に低下している。新型プレリュードの購入層に占める40歳未満は1割未満である(販売店ヒアリングベース)。無論、プレリュードのブランドは若年層には響きにくい。中高年向けのブランドという意識もあるだろう。現在の売り方は、増えつつある中高年のさらに支払能力の高い層をターゲットにした成功である。いい方は悪いが、
「一過性の売り逃げ」
にも見える。ブランドに伝統があっても技術は進化している。しかし未来の顧客層が不在であり、
「長期的な文化継承の断絶」
という構造的リスクを孕む。今回のプレリュードは、利益率重視の少量高付加価値戦略である。元々の生産計画は月300台と限られており、供給効率は必ずしもよくない。固定費の回収のために、結果的に
「量産モデルの価格」
に波及する可能性もある。スペシャリティカー復権は、価格上昇スパイラルのリスクをともなう。
e:HEVや各種新制御技術は技術的に成熟しつつある。しかし補助金、税制、保険料体系は燃費優遇車に偏重しており、スポーツ志向車への支援制度は存在しない。環境対応を果たしても評価されない市場制度が適切かどうかも、今後検討すべき課題である。