「もう新宿に用はない」 立川が今選ばれる理由! 「住みたい街ランキング」急上昇も、裏で迫る人口減! この人気は持続可能なのか

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立川市は、中央線のハブとして高い利便性を誇る。都市機能も充実しているが、少子化や高齢化の進展により人口構造が変化している。北口再開発や南口の生活文化の融合が進む中、持続可能な都市設計が求められる。特に、子育て世代や高齢者への支援強化が今後の重要な課題となる。

知的資本活用の都市経営

立川(画像:写真AC)
立川(画像:写真AC)

 加えて、都市の「スケールの妙」も活かしたい。立川は政令市や東京23区と違い、人口20万人規模の中核市である。この規模は、都市計画や文化政策において機動性があり、住民と行政との距離も比較的近い。官主導ではなく、民間・大学・研究機関・市民といった多様な主体が共に都市戦略を編み上げる“共同編集型の都市運営”が可能なスケールである。

 そのためには、これまで以上に都市経営」の視点が必要だ。従来のように土地利用とインフラ整備を調整するだけでは、都市の魅力は保てない。むしろ、都市に蓄積されている目に見えにくい資本――文化資本や知的資本をどう経済価値に転換し、再循環させるかが問われている。

 立川の未来像は、けっして拡張の延長にはない。むしろ、すでにあるもの――完成度の高い都市構造と、知的資産の集積という見えにくいアセットをどう接続し直すかにかかっている。商業施設の新設や観光施策を超えて、都市に住むことの意味を再定義する時期にきている。

 立川は今、郊外都市の標準から一歩抜け出す可能性を持っている。そしてそのカギは、都市が内包する「知」と「問い」をどう扱うかにある。問いを持つ都市は、時代を超えて選ばれる。

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