「もう新宿に用はない」 立川が今選ばれる理由! 「住みたい街ランキング」急上昇も、裏で迫る人口減! この人気は持続可能なのか

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立川市は、中央線のハブとして高い利便性を誇る。都市機能も充実しているが、少子化や高齢化の進展により人口構造が変化している。北口再開発や南口の生活文化の融合が進む中、持続可能な都市設計が求められる。特に、子育て世代や高齢者への支援強化が今後の重要な課題となる。

成熟都市に潜む転機

立川(画像:写真AC)
立川(画像:写真AC)

 立川は今、都市としての完成度において、すでにある一定の頂点に達しているといっても過言ではない。JR中央線・南武線・多摩モノレールの交差による交通結節性、複数の大型商業施設と高度医療機関が揃う日常完結型の利便性、そして都心へのアクセスと広大な昭和記念公園という緑地空間――このような都市機能の組み合わせは、多摩地域のみならず、首都圏全体でも稀有である。

 また、駅を境に南北でまったく異なる都市体験を提供する多層的な空間構造は、都市に奥行きと複眼的な魅力をもたらしている。南口では再開発の進行とともに現代的な利便性が演出され、北口には昭和的な猥雑さと都市の記憶が今も息づいている。この対比は、成熟都市であると同時に過渡期の都市としての色彩を残しており、多様な属性の来訪者や居住者を引きつける。

 しかし、どれほど便利な都市であっても、将来的な持続可能性が約束されているわけではない。出生数の急減、高齢化の加速という全国的課題は、立川においてもすでに顕在化している。都市が提供する利便性が高いほど、反転するようにその裏側の「疲弊」が見えにくくなるというパラドックスもある。人口が漸減に転じた時、単なるベッドタウンや商業都市としての立川は、いずれ競争力を失っていくおそれがある。

 日々の生活を快適に過ごせる街であることと、人生の節目に「この街で生きたい」と思わせる街であることは、まったく別の課題である。後者には、利便性では測れないストーリーや、住民が都市に関与する余地が必要だ。都市に住むとはどういう意味なのか。その問いを真正面から引き受けるフェーズに、立川は入っている。

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