ローカル線に未来はあるのか!? 鹿児島・JR指宿枕崎線「輸送密度222人」という現実! 経営学者の私が「観光路線化」を強く提言するワケ
指宿枕崎線は、鹿児島中央駅~枕崎駅間で年間12.09億円の収益を上げる一方、指宿~枕崎間は経営的に赤字が続く。地域活性化のカギは観光列車や駅周辺の医療・商業施設の開発で、公共交通の新たな価値創出が求められている。
鉄道活用の新たな都市開発戦略

観光列車を導入するには、行政も金銭的支援を含めて協力する必要がある。神田教授は
「鉄路として将来的に残すのであれば、何らかの形で費用負担は生じるのは避けられない。これまでの考えでは『インフラ維持のための経費』という認識になるが、『投資することで地域に価値をどれだけ生みだせるか』という判断軸を持った方がいい」
と指摘している。このように、効果を上げるための投資として評価する視点が求められている。鹿児島県は指宿枕崎線の経済的価値を可視化するために調査や実証事業を検討している(第2回会議資料)。
また、駅周辺に利便施設を配置する「鉄道を基軸としたまちづくり」も進めるべきだろう。例えば、JR東日本と日本郵便が協力して行っている駅と郵便局の一体化などが検討の余地がある。
群馬県明和町と民間企業は、東武伊勢崎線川俣駅直結の明和メディカルセンタービルを整備した。このビルには医療機関やカフェが入居している。明和町は2011(平成23)年から川俣駅周辺の交通機能向上に取り組んでおり、東西駅前広場や自由通路の整備を進めてきた。住民のニーズが高い「地域医療の充実」に向けて、2018年に「明和町立地適正化計画」を策定。駅周辺への医療や商業施設の誘導を進め、中心拠点の機能強化と都市圏との連携を目指すまちづくりを推進している。
邑楽館林まちづくりが事業主体となり、医療施設の建物を整備した。この会社は、鉄道利用者にとっての付加価値向上を期待していると説明している。さらに、担当者は今後の参考にするため、北海道ボールパークも視察した。