ローカル線に未来はあるのか!? 鹿児島・JR指宿枕崎線「輸送密度222人」という現実! 経営学者の私が「観光路線化」を強く提言するワケ

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指宿枕崎線は、鹿児島中央駅~枕崎駅間で年間12.09億円の収益を上げる一方、指宿~枕崎間は経営的に赤字が続く。地域活性化のカギは観光列車や駅周辺の医療・商業施設の開発で、公共交通の新たな価値創出が求められている。

鉄道とバス、所要時間の差

指宿枕崎線指宿駅に停車中の指宿のたまて箱。2025年1月6日撮影(画像:大塚良治)
指宿枕崎線指宿駅に停車中の指宿のたまて箱。2025年1月6日撮影(画像:大塚良治)

 定期特急列車「指宿のたまて箱」(いぶたま)は、鹿児島中央駅~指宿駅間で毎日3往復運行されている。2024年3月16日のダイヤ改正により、喜入駅への停車が取りやめとなり、以降は途中駅に停車せず、鹿児島中央駅~指宿駅間を50分程度で結ぶ。

 山川駅~枕崎駅間は、1日12本の列車が運行されている(指宿駅~西頴娃駅間の区間運転列車は上下2本)。西大山駅は、JR最南端の駅として知られ、一部の列車ではホームで撮影などができるよう、2分程度の停車時間が設けられている。

 鹿児島中央駅~枕崎駅間を直通する列車は1日6本だが、指宿枕崎線を利用する場合、指宿駅または山川駅での乗り換えが必要なことが多い。

 指宿枕崎線の全区間の所要時間は約2時間40分~3時間だ。これに対し、鹿児島中央駅~枕崎間を結ぶ路線バスは約90分で到達する。鉄道はバスの約2倍の所要時間を要している。

 指宿枕崎線が鹿児島中央駅と枕崎駅を結び続けるためには、指宿駅~枕崎駅間の存続が必要だ。しかし、それには都市間輸送以外の新たな意義を見つけることが求められる。2023年11月29日、JR九州は、指宿駅~枕崎駅間のあり方について、鹿児島県と沿線の枕崎市、南九州市、指宿市と議論を行いたいと伝えた。この議論は「鉄道の存廃を前提としない」形で進められる予定だ(『日本経済新聞』2023年11月30日付け)。

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