ローカル線に未来はあるのか!? 鹿児島・JR指宿枕崎線「輸送密度222人」という現実! 経営学者の私が「観光路線化」を強く提言するワケ

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指宿枕崎線は、鹿児島中央駅~枕崎駅間で年間12.09億円の収益を上げる一方、指宿~枕崎間は経営的に赤字が続く。地域活性化のカギは観光列車や駅周辺の医療・商業施設の開発で、公共交通の新たな価値創出が求められている。

指宿枕崎線の輸送力格差

枕崎に到着した鹿児島市内発の鹿児島交通バス。2025年2月27日撮影(画像:大塚良治)
枕崎に到着した鹿児島市内発の鹿児島交通バス。2025年2月27日撮影(画像:大塚良治)

 鹿児島中央駅~谷山駅間の公共交通は、指宿枕崎線、市電(鹿児島市交通局)、または路線バスから選べる。指宿枕崎線鹿児島中央駅~谷山駅間の輸送密度(1kmあたりの1日の乗客数)は2023年度で7685人、鹿児島市交通局の輸送密度は2022年度で7481人だ。

 指宿枕崎線は、鹿児島中央駅から枕崎駅までの87.8kmを結ぶ、全線非電化単線のJR九州の地方交通線だ。この路線は、三つの区間で性格が大きく異なる。

 まず、鹿児島市中心部の近郊路線としての役割を持つ鹿児島中央駅~喜入駅間は、区間運転を含めて概ね20~30分間隔で運行されている。

 次に、喜入駅を境に、枕崎駅方面は輸送密度が大きく減少する。喜入駅~指宿駅間は、主に沿線の学校への通学や観光輸送を担っており、1日輸送密度は1988人だ。指宿駅周辺には、砂蒸し風呂で有名な「指宿砂むし温泉」などがある。

 指宿駅~枕崎駅間は、開聞岳を車窓から望むことができ、のんびりとしたローカル線の雰囲気が漂う。1日輸送密度は222人だ。営業損益は、喜入駅~指宿駅間で-2.32億円、指宿駅~枕崎駅間で-4.62億円となっている。

 鹿児島中央駅~枕崎駅間の1日輸送密度は2867人、営業収入は12.09億円だ(JR九州のデータ、2023年度)。

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