ローカル線に未来はあるのか!? 鹿児島・JR指宿枕崎線「輸送密度222人」という現実! 経営学者の私が「観光路線化」を強く提言するワケ
指宿枕崎線は、鹿児島中央駅~枕崎駅間で年間12.09億円の収益を上げる一方、指宿~枕崎間は経営的に赤字が続く。地域活性化のカギは観光列車や駅周辺の医療・商業施設の開発で、公共交通の新たな価値創出が求められている。
「いぶたま」延長への障壁

筆者(大塚良治、経営学者)は、指宿駅~枕崎駅間の存続には、開聞岳の車窓風景や西大山駅を活用した
「観光路線化」
が必要だと考える。しかし、現状では観光列車「いぶたま」の運行は鹿児島中央駅~指宿駅間にとどまっている。いぶたまを枕崎駅まで延長するには、車両の増備や乗務員の確保など、採算面で大きな課題がある。
いぶたまの延長が難しい場合、指宿駅~枕崎駅間で新たな観光列車を運行する方法を検討すべきだろう。しかし、増発せず、既存の普通列車を観光列車に置き換えるのも一案だ。
車両の参考として、かつて呉線(海田市駅~三原駅間)で運行されていた臨時快速「瀬戸内マリンビュー」がある。2両編成で、1両は指定席、もう1両は自由席として開放され、乗車券だけで利用できた。また、肥薩線の普通「いさぶろう・しんぺい」でも自由席があった。
また、予土線(若井駅~北宇和島駅間)で現在も運行されている「ホビートレイン」のように、全席自由席の列車を運行する案もある。この形態では、指定券の確認業務がなく、運転士以外の乗務員を省いた運行が可能だ。沿線学校の生徒によるおもてなしを実施すれば、公共交通の重要性を教育する機会にもなる。