国民は「JR」から鉄道を取り戻すべき? コロナ禍で浮き彫りになった国鉄民営化の功罪! 自治体「発言権強化」の必要性を考える
鉄道ダイヤ改正やサービスの変化は、コロナ禍を経て地域経済に深く関わる課題が浮き彫りになり、自治体との連携強化が求められている。民営化された鉄道事業は、利益重視から地域密着型への転換が必要で、京葉線の通勤快速廃止問題など、住民生活に対する柔軟かつ迅速な対応が重要となっている。
鉄道の「有効性」を見直す時
2020年代前半に直面した課題を踏まえ、2020年代後半にはどのような方向性を取るべきかについて考える。主に3つの重要な柱が挙げられるべきだと考えている。それは、
・JRから鉄道を国民の手に取り戻す時代
・鉄道事業者にも寄り添った政策の実現
・整備新幹線制度の抜本的見直し
である。
まず、JRから鉄道を国民の手に取り戻すためには、自治体の発言権を強化し、鉄道に対する理解を深めるための政策を実行する必要がある。具体的には、鉄道の専門家を各都道府県に配置することが第一歩となる。鉄道運行サービスについて深い理解を持つ人材を常勤で配置することが望ましい。
次に、鉄道の利便性を評価する指標として、有効本数と有効列車間の運転間隔を導入すべきだ。運行本数や運転間隔を評価に用いることは多いが、実際には列車の追い抜きや接続先路線の制約により、すべての列車が目的地に実質的に利用可能とは限らない。したがって、実際に利用可能な列車だけを数える有効本数や有効列車が重要な評価基準となる。
さらに、自治体がJR株を取得できるよう、財政的な支援を行うべきだ。2024年7月に岡山県真庭市がJR西日本の株を1億円で取得した事例が話題となったが、こうした発想は好ましいものである。自治体が一方的な要望を出すのではなく、資本参加することで発言権を持つことは理にかなっている。他の自治体が同様の措置を取れるよう、国が株の転売を禁止する条件で購入費を支援することを考えてもよいだろう。また、これに合わせて鉄道事業者の取締役に都道府県庁の関係者をひとり以上入れることを義務化することも、鉄道事業法改正を通じて実現できるかもしれない。このような施策を講じれば、JRから鉄道を国民の手に取り戻すことが実現可能だろう。