国民は「JR」から鉄道を取り戻すべき? コロナ禍で浮き彫りになった国鉄民営化の功罪! 自治体「発言権強化」の必要性を考える

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鉄道ダイヤ改正やサービスの変化は、コロナ禍を経て地域経済に深く関わる課題が浮き彫りになり、自治体との連携強化が求められている。民営化された鉄道事業は、利益重視から地域密着型への転換が必要で、京葉線の通勤快速廃止問題など、住民生活に対する柔軟かつ迅速な対応が重要となっている。

株主圧力と外部収益の機会損失

コロナ緊急事態宣言下の渋谷駅構内と中央線の車内(画像:北村幸太郎)
コロナ緊急事態宣言下の渋谷駅構内と中央線の車内(画像:北村幸太郎)

 JRは2002年(平成14年)のJR東日本の完全民営化を皮切りに、西日本、東海、九州と順次、完全民営化を達成した。

 完全民営化は、民間による自立した経営という印象を与えるが、実際には、利益を上げにくい部分を削減する方向性も見受けられる。JRは公共性を考慮しながらも、すべてを切り捨てるわけにはいかず、法的な問題や社会的な批判を回避しつつ、コスト削減の方法を模索しているように感じられる。

 一部の経済専門家からは、「JRは株主資本利益率に過度に注力しているのではないか」という指摘もあり、外国人投資家による圧力が強いともいわれている。

 しかし、京葉線においては、海浜幕張駅周辺の空き地を購入し、タワーマンションの開発によって利益を得る選択肢があったのではないかとも考えられる。それにもかかわらず、他社による開発を許し、その外部収益効果を取り込む機会を逃している点がある。

 株主は、鉄道事業の経費削減や利益率の向上を求めるだけでなく、鉄道の利便性向上と、その結果としての外部収益効果を逃した点にも責任を感じるべきかもしれない。

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