国民は「JR」から鉄道を取り戻すべき? コロナ禍で浮き彫りになった国鉄民営化の功罪! 自治体「発言権強化」の必要性を考える

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鉄道ダイヤ改正やサービスの変化は、コロナ禍を経て地域経済に深く関わる課題が浮き彫りになり、自治体との連携強化が求められている。民営化された鉄道事業は、利益重視から地域密着型への転換が必要で、京葉線の通勤快速廃止問題など、住民生活に対する柔軟かつ迅速な対応が重要となっている。

割引制度改悪、鉄道利用者への影響

 利益率の向上を目指したのか、通勤ライナーは次々と特急に名称が変更され、着席料金も引き上げられた。当時、JR東日本のコーポレートスローガン「どこまで、行けるか」に従い、着席料金の引き上げ、どこまで可能かとでもいわんばかりに、区間によっては2倍以上に値上がりしたところもあった。

 観光や出張用の特急ならば、千円以上かかるのも仕方がないかもしれないが、毎日の通勤に使う列車の料金が500円台から急に1000円に引き上げられるのはどうだろうか。その結果、特急「湘南」では、湘南ライナー時代には東京から51kmを超える藤沢や茅ヶ崎まで利用する人も多かったが、特急化後は料金が760円に収まるように、大船で多くの人が降り、その後は空いていることがしばしば見られ、最終的には一部列車で運行区間や時間帯が短縮されることになった。

 また、京葉線では廃止された通勤快速の代わりに新たに特急が設定されたが、通勤快速時代より4分遅くなり、速達サービスが有料化されたことで、沿線住民からの不満も大きかった。

 お得な切符や割引制度の見直しも進んでいる。最近では、青春18きっぷの仕様変更や往復割引の廃止、首都圏での運賃大幅値上げが話題になったが、2024年春には新幹線と在来線特急の乗継割引が廃止され、多くの人々が驚いたことだろう。

 筆者(北村幸太郎、鉄道ジャーナリスト)もかつて東洋経済オンラインで、新幹線と特急が並走する区間で、往路の特急に対して復路を新幹線にすることで、特急往復より安くする方法や、在来線特急区間に挟まれた新幹線区間の途中駅で特急券を分割購入し、前後の特急列車両方に乗継割引を適用する方法を紹介し、割引制度の新たな利用方法を広めてきただけに、その廃止には残念な思いがある。

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