国民は「JR」から鉄道を取り戻すべき? コロナ禍で浮き彫りになった国鉄民営化の功罪! 自治体「発言権強化」の必要性を考える
鉄道ダイヤ改正やサービスの変化は、コロナ禍を経て地域経済に深く関わる課題が浮き彫りになり、自治体との連携強化が求められている。民営化された鉄道事業は、利益重視から地域密着型への転換が必要で、京葉線の通勤快速廃止問題など、住民生活に対する柔軟かつ迅速な対応が重要となっている。
減便と空席の光景
2020年代の始まりは、コロナ感染の影響で外出を控える動きが広がり、それにともない減便が相次いだ。特に、通勤時間帯以外は街や駅、列車から人々が姿を消す状況が特徴的だった。
東海道新幹線では、「のぞみ12本ダイヤ」の実現直後に一時的に定期列車が削減され、日中の「のぞみ」は1時間に3本まで減便されることとなった。それでも、車内は空席が目立ち、乗客の中には、車内での感染を恐れて、ペットボトルの緑茶をティッシュに染み込ませて、自席周りや窓枠、手が触れる部分を拭いてから着席する人も見受けられた。
その後の5年間、需要回復の状況は路線によって異なった。需要が回復した地域では、混雑問題が顕在化し、特に京都のJR嵯峨野線では、減車で一度他線区へ転出させた車両を戻せず、インバウンド需要の増加に対する対応が遅れたことがあった。また、東京ではJR山手線の混雑が問題視され、2025年のダイヤ改正でようやくラッシュ時の本数がコロナ前の体制に戻り始めた。
一方で、サービスの低下が影響し、乗客の回復が思うように進まなかったのが、京葉線で注目された通勤時間帯の快速全廃問題だ。減便や利便性の低下が続いたことが、回復の遅れを招いた要因のひとつと考えられる。