北陸新幹線「延伸問題」 米原から先は、滋賀県「通勤新線構想」で解決できるのでは?

キーワード :
, ,
滋賀県の「びわこ京阪奈新線」を北陸新幹線の一部として整備する提案。新大阪~米原間の所要時間は約1時間16分に短縮され、地域間の結びつきを強化する可能性がある。計画の詳細と経済効果、課題を検討する。

滋賀県の通勤新線構想と課題

北陸新幹線(画像:写真AC)
北陸新幹線(画像:写真AC)

 筆者(北村幸太郎、鉄道ジャーナリスト)は、これまで北陸新幹線ルート問題に関する記事を当媒体に何本も書いてきた。その多くのコメントを通じて、小浜ルートの中止や米原ルートの再検討を求める声が高まっていることを実感している。

 米原派のコメントのなかで多く見られる意見は、

「米原ルートでも、新大阪~米原間の整備は必要だ」

というものだ。この意見に対して、さまざまな案が提案されている。例えば、

・東海道新幹線と並行して、新大阪~米原間を全線複々線化する案
・米原から草津線の貴生川や奈良線との交差箇所に新駅を作り、新大阪まで繋げる案
・米原から伊賀上野を通り、奈良に至るルートで、奈良~新大阪間はリニア中央新幹線と共同で整備する案

などだ。しかし、これらの案が実現するためには、滋賀県が同意することが前提となるが、それが難しいのではないかと考えている。もし東海道新幹線を活用せずに新線を作るとなると、その費用をかけるなら、小浜ルートを選択したほうがいいのではないかとも思う。

 とはいえ、京都を通過しない点では、小浜ルートよりも環境面での利点がある議論ではある。加えて、滋賀県を説得するための有力なカードがひとつある。それは、滋賀県が構想している「通勤新線計画」を北陸新幹線の一部として整備する案だ。この提案なら、滋賀県も賛成するかもしれない。

 そこで今回は、滋賀県が構想する通勤新線計画について紹介し、それを北陸新幹線の一部として整備した場合の効果と課題についてまとめた。

全てのコメントを見る