「生活路線」が生む、深い旅の感動【リレー連載】現代人にとって旅情とはなにか(2)

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路線バスは、都市や地域の実情を知るための貴重な情報源であり、地域住民や運転士との自然な交流が旅情を生み出す。だが、モータリゼーションの進展や路線バスの廃止が進む中で、こうした機会は減少している。この記事では、筆者が経験した独自のバス旅と観光列車との違いを通じて、自然な交流の重要性を探る。

地方路線バスが映す生活と経済の縮図

地方の風景(画像:写真AC)
地方の風景(画像:写真AC)

 少年時代や青春時代にひとりで山奥の路線バスに乗ると、ほとんどの場合、常連の乗客に声をかけられるものだ。

 本数が限られた路線バスを利用する人は少なく、よそ者の自分は目立つ存在になる。おそらく、どこの誰なのか気になって声をかけたくなるのだろう。こちらも

「路線バスが好きで、本数が少なく珍しい路線に乗りたくて来た」

と正直に伝えると、自然と会話が始まる。そして、

・路線バスが生活に欠かせない存在であること
・地域交通の変化
・地域産業
・経済状況

などについて教えてもらえるようになる。学生だったからこそ遠慮なく色々と質問できたのも大きかった。

 地方の路線バスで終点まで行くと、本数が少ないために来た便でそのまま戻ることがよくある。その間に休憩中の運転士と話すことになるのだが、彼らも「物好きなやつだ」と思いながら接してくれる。そして、

「このバス会社にはこんな貴重な車両があるぞ」

といった話や、

「昔はこんな路線もあった」

といったマニアックなエピソードを聞かせてくれる。そうやって路線バスを通じて地域やそこにある生活を知り、住民や運転士と直接交流するなかで、自然な形で地域の生活や現状を学んでいった。 自分にとっての旅情とは、

「訪れた土地の情報を知ること」

である。その土地の生活や背景を知り、しみじみと思いを巡らせることが旅の楽しみであり、次の都市や交通に関する研究の糧にもなっていく。

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