もはや絶叫マシン? 貨物船の船員があえて「一番後ろ」で寝泊まりする5つの理由

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貨物船の居住区は安全性と経済性から船尾に集中する。しかし、代替燃料時代を迎え、船首配置が騒音やタンク容量、視界確保の面で再評価されつつある。実現の可能性が現実味を帯びる。

船尾に居住区を置く理由

船首居住区を採用したコンテナ船「なとり」(画像:井本商運)
船首居住区を採用したコンテナ船「なとり」(画像:井本商運)

 クルーズ船では、船の先端近くから前方の海を一望できる絶景が広がる。しかし、世界中の貨物船を見ると、船員の居住区(船員が寝泊まりし、休息や食事をとるエリア)はほぼ例外なく「船尾」に配置されている。この配置には明確な理由があるが、船首側に居住区を置くメリットも存在する。それでも実際に「船首」に居住区を設けた船はほとんどない。

 なぜ船員の居住区は船尾に置かれるのか。大きな理由のひとつは、機関室が近いことだ。船のプロペラは船尾にあるため、機関室も自然と船尾に配置される。舵もプロペラの近くにあるため、操舵機室も船尾側に位置する。居住区を船尾に置けば、これらの作業場所に安全にアクセスできる。

 もうひとつの理由は、カーゴスペースの確保である。貨物船は多くの貨物を運ぶことが目的であり、カーゴスペースの容積を最大化する必要がある。機関室の周辺にはカーゴを置けないため、居住区を船尾にまとめるほうが効率的で、スペースを有効活用できるのだ。

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