「トヨタ依存」からの決別?――スバル2500億円の決断、BEV自社生産で奪還する「製造主体」のプライド
スバルは矢島工場で新型BEV「トレイルシーカー」の自社生産を開始した。5年間で2500億円を投じ、トヨタ依存を抑えつつ、独自技術とブランド価値を次世代に繋ぐ挑戦が始まる。
スバルのBEV自社生産移行

SUBARU(スバル)は2026年2月4日、群馬製作所矢島工場(群馬県太田市)で、新型のバッテリー式電気自動車(BEV)「トレイルシーカー」の生産を自社で始めたと発表した。スバルが自社工場でEVを手がけるのは、2000年代に軽自動車EVを販売した例を除けば、グローバル展開モデルとしては初めてのことだ。
トレイルシーカーは、2026年春に国内で発売予定のスポーツタイプ多目的車(SUV)であり、トヨタ自動車との共同開発によるグローバルEVラインアップの第2弾に位置付けられる。両社が手がけた第1弾は、2022年5月に市場投入された「トヨタ・bZ4X/スバル・ソルテラ」だった。販売開始当初、bZ4Xはリースのみの提供にとどまった一方、ソルテラは現金一括やクレジットなど複数の購入プランを整え、差別化を図っている。
第1弾モデルはいずれもトヨタ・元町工場(愛知県豊田市)で生産されていたが、ソルテラ発売時点でスバルは矢島工場でのBEV自社生産を公表していた。当時、電動化をめぐる商品力やインフラの課題は多く、競合より慎重な姿勢が目立っていた。しかし海外を中心にEV普及政策が加速し、ソルテラの開発と販売経験を経たことで、本格的に自社生産へとかじを切る決断に至った。
さらに、5年間で2500億円を投じる生産体制の拡充は、トヨタの生産網に依存し続けるリスクを避ける狙いを含む。共同開発モデルは、グローバルプラットフォーム「e-TNGA」を採用しており、スバルとトヨタのアライアンスは2025年20年目を迎えた。開発、製造、サプライチェーンの各領域で連携を深めてきた両社において、今回の自社生産開始は受動的な供給関係から脱し、対等なパートナーシップへと関係を変えた意味合いを持つだろう。