ローカル路線バスの旅から学ぶ「予測不可能」な楽しさ【リレー連載】現代人にとって旅情とはなにか(1)
現代の旅は効率重視が主流だが、意外な「エモい瞬間」が旅情を呼び覚ます。増加するひとり旅の傾向や、ローカル路線バスの旅から見えてくる、旅の本質とは? 意外な場所やハプニングが生む心の豊かさを探る。
ハプニングやトラブルも楽しむ

旅の途中でのハプニングやトラブルも、旅情をかき立てる要素にちがいない。
・とどこおりなさ
・スムーズさ
・時間どおり
が強く求められる現代においては、ハプニングやトラブルは忌避されるものだ。ハプニングやトラブルがないにこしたことはないのは確かにそのとおりなのだが、かえって
「旅をつまらなくしている」
ような気がしてならない。
以前四国を旅したときに、八幡浜(愛媛県)で食事ができる場所が見当たらずスーパーの総菜売り場のいなりずしとなったが、そのときの
「四国ってスーパーの総菜もうまい」
という感動が今でも忘れられない。というか、もう一度訪ねていきたいぐらいだ。
また、北海道を旅行した際、たまたまヒッチハイクで乗せてくれた人に紹介された小さな民宿のイカそうめんも絶品だった。ただおなかがすいていただけといわれればそれまでかもしれないが、
「偶然がもたらすシチュエーション」
では、カラオケボックスのカレーライスも特別な料理になる。
ハプニングやトラブルは、普段何気ないものまでも強く心に刻む“魔力”があるのだろう。ただ、とどこおりなさが求められる現代においては、ハプニングやトラブルさえも楽しめるくらいの心の余裕が必要かもしれない。