移籍トラムの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない【リレー連載】偏愛の小部屋(16)

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路面電車の「移籍トラム」は、新しい場所でも元の個性を残しながら活躍し続けている。広島電鉄や福井鉄道など、移籍した電車がどのように再生され、観光資源として利用されているかを紹介する。歴史ある車両が「里帰り」する例や、移籍先と出身地をつなぐ「動くタイムカプセル」としての役割にも触れており、乗るとその電車の長い旅路に感動すること間違いない。

「移籍トラム」の魅力

2005年に廃止された名鉄岐阜市内線(写真左上)から豊橋鉄道に移籍したモ780形電車。正面の連結器が無くなっているものの、岐阜で活躍していた頃の面影タップリだ(画像:若杉優貴)
2005年に廃止された名鉄岐阜市内線(写真左上)から豊橋鉄道に移籍したモ780形電車。正面の連結器が無くなっているものの、岐阜で活躍していた頃の面影タップリだ(画像:若杉優貴)

 首都圏では「小田急から西武への車両譲渡」が話題になっているが、路面電車はまさに「移籍車の宝庫」といえる存在だ。路面電車は一般的な鉄道車両に比べて小規模な改造が行われた後、新天地で活躍することが多く、出身地の面影を色濃く残したまま移籍先で運行される車両も少なくない。

 なかには、豊橋鉄道(愛知県)や福井鉄道(福井県)のように

「車両の半分以上が他社からの移籍車」

となっている路線もあり、とさでん交通(高知県)のように海外で活躍していた中古の路面電車を導入し、沿線の名物にしている路線もある。しかし、路面電車にあまりなじみがない人には「移籍トラム」の面白さがわからないかもしれない。

 そこで今回は、筆者(若杉優貴、商業地理学者)が移籍トラムを「やばい!」と思う四つのポイントについて解説する。

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