移籍トラムの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない【リレー連載】偏愛の小部屋(16)

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路面電車の「移籍トラム」は、新しい場所でも元の個性を残しながら活躍し続けている。広島電鉄や福井鉄道など、移籍した電車がどのように再生され、観光資源として利用されているかを紹介する。歴史ある車両が「里帰り」する例や、移籍先と出身地をつなぐ「動くタイムカプセル」としての役割にも触れており、乗るとその電車の長い旅路に感動すること間違いない。

移籍トラムは「タイムカプセル」

移籍トラムは街の歴史を伝える「タイムカプセル」だ。愛知県に期間限定「里帰り」した名電1号形は何と120年以上前の車両。大正時代に札幌に移ったのち1970年代まで活躍した。再び移籍先の札幌に戻り、2024年からは資料館で展示されている(画像:若杉優貴)
移籍トラムは街の歴史を伝える「タイムカプセル」だ。愛知県に期間限定「里帰り」した名電1号形は何と120年以上前の車両。大正時代に札幌に移ったのち1970年代まで活躍した。再び移籍先の札幌に戻り、2024年からは資料館で展示されている(画像:若杉優貴)

 2011(平成23)年に東日本大震災が発生した直後、長崎電気軌道は元仙台市電の車両を使用して「がんばれ!!東北号」を運行した。この取り組みに対して、多くの長崎市民が車内に設置された募金箱に義援金を投じた。また、2022年には京都市交通局が誕生110年を迎え、広島電鉄を走る元京都市電の車両にも記念ヘッドマークが掲出された。

 移籍トラムは、その出身地の街の歴史を伝える一種の

「タイムカプセル」

であり、移籍元と移籍先の街をつなぐ「絆の架け橋」ともいえる。もし移籍トラムに出会ったら、車両に残された出身地の面影を探しながら、その電車がたどってきた長い旅路に思いをはせてほしい。

 移籍トラムの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない。皆さんが感じる“やばさ”があったらぜひ聞かせてほしい。

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