移籍トラムの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない【リレー連載】偏愛の小部屋(16)

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路面電車の「移籍トラム」は、新しい場所でも元の個性を残しながら活躍し続けている。広島電鉄や福井鉄道など、移籍した電車がどのように再生され、観光資源として利用されているかを紹介する。歴史ある車両が「里帰り」する例や、移籍先と出身地をつなぐ「動くタイムカプセル」としての役割にも触れており、乗るとその電車の長い旅路に感動すること間違いない。

やばいポイント2「実は兄弟」

上から広島・北九州・熊本に散らばった元西鉄連節車たち。全てヘッドライトの位置が異なるが実は元々同じ顔、ほぼ同形式の兄弟電車だった。各地で見られた元西鉄連節車だが、筑鉄2000形については2022年までに全車廃車(福岡県内で2編成保存)、広島・熊本でも残るは1編成のみとなっている(撮影:若杉優貴)
上から広島・北九州・熊本に散らばった元西鉄連節車たち。全てヘッドライトの位置が異なるが実は元々同じ顔、ほぼ同形式の兄弟電車だった。各地で見られた元西鉄連節車だが、筑鉄2000形については2022年までに全車廃車(福岡県内で2編成保存)、広島・熊本でも残るは1編成のみとなっている(撮影:若杉優貴)

 かつて同じ町で活躍していた兄弟車両が、路線の廃止などにともない、移籍トラムとして全国各地に散らばった例は少なくない。

 例えば、福岡市内線(1979年廃止)などで活躍していた西日本鉄道(福岡県)の連節車は、軌道線(路面電車)の縮小や廃止により、

・広島電鉄/筑豊電鉄(福岡県、西鉄グループ)
・熊本市電(熊本県)

の3社局に譲渡された。それぞれ移籍先で整形された上で活躍している。

 また、豊橋鉄道には東京都民にもおなじみの「現役の都電」と同じ顔の電車が走っている。これは、都電荒川線(東京都)の更新7000形(現7700形、一部は2010年代に再更新)の一部車両が譲渡されたものだ。元々同じ顔だった兄弟電車が、移籍先で

「どのように整形されたのか」

を見比べるのも面白い。

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