JAL・ANAの失敗、航空会社の「ホテル経営」はなぜ難しいのか? “放漫経営”と呼ばれた過去を検証する

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JALとANAは1980年代にホテル事業に進出したが、巨額の投資や放漫経営が原因で撤退した。特にJALは、エセックスハウスの取得で約200億円の損失を抱え、最終的に2010年に経営破綻。現在も残るブランド力は高く、航空会社がホテル運営のシナジー効果を生かせるかが注目される。

ホテル戦略の終息

飛行機(画像:写真AC)
飛行機(画像:写真AC)

 JALとANAは1980年代以降、相次いでホテル経営に参入し、国内外に展開を広げた。「ホテル日航」「ANAインターコンチネンタル」などのブランドが現在も残っている。しかし、これらのホテルの運営権はすでにJALやANAの手を離れている。では、なぜJALやANAはホテル経営に乗り出し、最終的に撤退することになったのか。

 航空事業とホテル事業は、昔からシナジー効果(異なる要素や組織が相互に作用し合うことで、単独での効果や成果を上回る効果が生まれること)が高いとされてきた。航空会社の経営には、次の要素が不可欠である。

・緊急時の避難計画など、安全性の確保
・定時性の確保
・予約やチェックインなどの運行や、地上・機内サービスに関わる専門技術と情報
・顧客へのホスピタリティスキル
・ブランドや評判の維持

 これらのなかでも、予約に関わる技術・情報、ホスピタリティスキル、ブランドといった要素は、ホテル事業にもある程度応用できる。特に、海外旅行を特別な体験と感じる日本人観光客に対して、ホスピタリティスキルやブランドといったリピート率に影響する要素は、ホテル業界でも有効だとする研究は昔から存在している。

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