要介護認定700万人超え間近も 「介護・福祉タクシー」の利用を阻む高すぎるハードルの正体
全国で716万人の現実
高齢者や要介護者、障害者の外出支援の政策が推進されている。
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2025年には、65歳以上の要介護要支援認定者数は全国で716万人(65歳以上高齢者の20%)、要介護3以上の高齢者数は252万人(同7%)に達すると見られる。しかし、介護職に従事する人材不足は顕著であり、介護タクシーはまだまだ足りていない。
一方で、介護ニーズの高まりにより介護・福祉タクシー業の将来性を評価する向きもある。介護・福祉タクシーの現状と課題、今後に必要な視点を考察する。
サステナブル社会における現状
高齢者や障害者が暮らしやすいサステナブルな町づくりに欠かせないのが、外出支援や交通支援である。特に、車がないと通院すらもままならない地方に住むの高齢者にとっては切実な問題であり、免許返納したくてもできない理由がここにある。
さらに、家で介護するという図式は過去のものとなり、独居老人は増加傾向だ。車を出す家族がおらず、交通機関がままならない地域だけではなく、都市部でも介護タクシーの需要は多く、今後も増えるだろう。しかし、需要に対して供給は足りておらず、予約を取ることが難しいのが現状だ。
コロナ禍のワクチン接種では、自治体がさまざまな移動支援策を出していたが、それでも移動難民が多かった。介護保険を利用する場合には前もってケアプランの策定が必要となる。保険を使わない福祉タクシーでどうにかワクチン会場に着いたとしても、どこからどこまでが介助対象となるのかは、運転手の資格の有無などそれぞれで違う。
介助の資格を有していない介護タクシー運転手が介助を断ったところ、利用者の家族からクレームが来たという例もある。これは利用者側の理解不足、タクシー業者の説明不足から来た悲劇であるが、一概にタクシー事業者の「乗車拒否」を攻められない。
ワクチン接種会場への介護・福祉タクシー料金についても、自治体によって無料のところもあれば、チケット支給、一定金額のみ負担などまちまちであり、統一されていない。福祉への対応の地域差が明るみに出た形だ。