要介護認定700万人超え間近も 「介護・福祉タクシー」の利用を阻む高すぎるハードルの正体
介護職に従事する人材不足は顕著であり、介護タクシーはまだまだ足りていない。
ブランディングで理解向上を

国土交通省が2022年3月に発表した「地域交通3.0」では、地域のくらしをつくるサステナブルな交通の実現として、地域の企業や自治体による「共創」を打ち出している。
同時に、自治体向けに「高齢者の移動手段を確保するための制度・事業モデルパンフレット」を発出。コンテストで事業を募集し、くらしのニーズに基づく持続可能な交通モデルの創出を狙う考えだ。
地域によっては、タクシー事業者がいない、バス会社が機能していないなどの問題もある。この場合は、自治体が事業者となり住民や福祉事業者に委託する方法も提案されている。しかし、介護事業所が介護タクシー事業まで手が回らないという実情もあり、住民の協力や理解が不可欠となるだろう。
前述の水郷エスコートでは、自治体との連携や他企業への働きかけ、地域住民とのコミュニケーションを積極的に行っている。だからこそ、利用者視点に立ったサービス提供が可能となり、人材育成にも力を入れることができるのだろう。
要介護認定の高齢者は、今後も増加し続けることは避けられない。コロナ禍のワクチン接種や通院は、交通弱者の存在と課題を明るみに出した。アフターコロナの交通支援には、防災と安全、迅速性が不可欠だ。
自治体と事業者が連携し利用者視点に立ったニーズ把握と、福祉の交通の連携・共創が必要であることはもちろん、自治体と関係省庁の連携、議論に期待したい。