「体力も気力も続かない」 定額乗り放題サービス「mobi」のドライバーから寄せられる悲痛な声、AIが蝕む最適化され過ぎた現状とは

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KDDIとWILLERの合弁会社Community Mobilityが提供する乗り放題サービス「mobi」がその利便性から話題となっている。しかしその一方、既存のバス事業者、タクシー事業者は激しく反対している。いったいなぜか。

過酷になったバスドライバーの労働条件

mobi(画像:Community Mobility)
mobi(画像:Community Mobility)

 公共交通サービスである定期路線バス事業が、存続の危機に直面している。特に高齢化と少子化が進む地方では深刻な状況だ。

 主な要因のひとつは、ドライバー不足である。バス業界はもともとドライバー不足に悩まされていた。2002(平成14)年の規制緩和に伴う激しい生き残り競争のなかで、ドライバーの労働条件が厳しくなり、ドライバーの高齢化が進んだ。そこへインバウンド(訪日外国人)の急増があり、需要に対応できなくなった。しかしここ3年、コロナ禍で一転して不況となり、多くのドライバーが職を離れていったのだ。

 この影響は業界内だけにとどまらなかった。コロナ禍前から、各地の自治体で運行されていたコミュニティーバスは、バス会社から派遣されたドライバーによるところが多かった。しかし、バス会社は収益性を求めてより収益性の高い長距離バスなどに傾注することで、こうした派遣を行う余裕がなくなった。

 その結果、コミュニティーバスの運行を廃止せざるを得ない事態に追い込まれた自治体が出てきた。また、介護を必要とする高齢者の移動を援助する福祉有償輸送事業も同様の状態にある。従来のようなやり方では、公共交通事業の存続は難しい。

 今後人口は減少し、特に地方では高齢化、過疎化が進んでいる。高齢者にとってはバス停まで歩くのもおっくうになる。また高齢者は、ラッシュアワー時にバスを利用する必要はあまりない。一方、バス会社は、利用者の多い時間帯に運行便数を増やし、その時間帯にドライバーをフル活用することで業務を効率化させたい考えがある。このように、現状のままで推移すれば、どうしても定期路線バス事業は縮小の一途をたどるしかない。

 そうした状況を打破するためには、定期路線バスの利便性を高め、需要をマイカーから転換していかなければならない。おりしも、若い世代を中心にマイカーを持たない人たちが増えている。それはマイカーの保有に伴う費用負担が重いこともあるし、環境問題への関心の高まりから持たないという決断もある。