要介護認定700万人超え間近も 「介護・福祉タクシー」の利用を阻む高すぎるハードルの正体
介護職に従事する人材不足は顕著であり、介護タクシーはまだまだ足りていない。
福祉タクシーが増えない理由

ここで、介護タクシーや福祉タクシー事業者の実情を見てみよう。
介護タクシーは完全予約制での運行だ。流しはできない。銀行や買い物であればそんなに待ち時間はかからないかもしれないが、病院となるといつ終わるかわからない。その間は待機せざるを得ない。当然、回転率は悪くなる。
また、介護タクシーの料金は高額と思われがちだ。助成制度で割安となる場合もあるが、自治体による差は大きい。
一般のタクシーよりも割高になる理由は、乗車・移動に介助料金が含まれるからなのだが、利用者にとってはわかりにくい。
「福祉事業なのに」
と批判されてしまうことも少なくないという。
ユニバーサルデザイン車を含む福祉タクシーの場合は、運転手が十分な研修を受けられないという問題がある。また、車いす乗降に必要なリフトやスロープを組み立てている時間に、他の客を探しに行けるという本音も垣間見える。車いすの乗車拒否も、ここから来ているようだ。
介護・福祉タクシーの需要の上昇は間違いなく、自治体からの助成も期待できる。
では実際に参入できるかというと、前述の問題が解決され浸透する時間はかかりそうだ。事業を将来にわたって継続できるかを考えた際に、息切れする可能性もある。やはりリスクは高いと感じられる。