ドライバー業界の行政処分、半数近くが「点呼違反」だった! もはや異常事態か、人手不足の現場を救う新制度とは

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運送会社などの自動車運送事業者には、乗務前後に点呼を行う義務がある。だが人手不足に悩む事業者にとって、点呼要員を確保するのは簡単ではない。その打開策として期待される自動点呼について考えよう。

運送・バス・タクシー会社の救世主に?

ドライバー業界のイメージ(画像:写真AC)
ドライバー業界のイメージ(画像:写真AC)

「ウチみたいな吹けば飛ぶような中小運送会社で、点呼のためだけに深夜帯に人を置く余裕なんてないぞ」──。

 前回記事(2022年8月28日配信「18時間も会社にいる」 中小運送社長の届かぬ悲鳴、ドライバー業界を悩ます「点呼問題」の闇とは)では、1日18時間も在社し、点呼をこなす中小運送会社社長のエピソードを紹介した。

 運送会社、バス会社、タクシー会社などの貨物・旅客自動車運送事業者らは、悲惨な交通事故が起きるたびに関連する法律やその運用が強化され、より厳格な事業遂行を求められてきた。ドライバーが運行の前後に行う点呼制度も、そのひとつである。

 しかし、この制度が現場を疲弊させているのは冒頭でも触れた通りだ。2022年3~5月に行政処分を受けた293社の事業者(※事業実態のある事業者のみ)のうち、半数近い134社が点呼に関する違反を指摘されている事実にも、その一端が垣間見える。

 確かに、自動車運送事業者にとって安全とは絶対正義である。

 だが、安全にはコストが掛かる。そして、事業者の財布の中身は有限である。そうでなくとも経営に苦しむ事業者が多い中、「点呼のためだけに深夜帯に人を置く余裕なんてない」という件(くだん)の社長の言葉は、現場の苦しい現状を言い表している。

 これまで人による対面実施が原則とされており、事業者の負担となっていた点呼制度に対し、自動点呼は大きなブレイクスルーとなる可能性がある。

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