「野生のホンダ」再起動? 14年ぶり四輪赤字が浮き彫りにした「不合理の勝機」
四輪事業が14年ぶりの赤字、1664億円の営業損失に沈んだホンダ。効率改善を掲げた2020年の「本社統合」をわずか6年で撤回し、開発機能を再び「研究所」へ分離する。EV関連で計7000億円の損失を織り込むなか、短期の合理性を捨て、中国勢に対抗すべく創業の原点である「技術の聖域」へ再起を賭ける背水の陣だ。
日産統合交渉の影響
2024年12月末に浮上した日産自動車との経営統合構想は、北米や特定地域での限定的な提携検討にとどまり、最終的に具体的な進展は見られなかった。統合の可能性が後退したことで、ホンダは単独で開発戦略を進める前提が明確になった。
もし日産との統合が実現していれば、ソフトウェア開発や北米生産拠点の連携でコストを抑え、規模のメリットを享受できた可能性もある。ただ単独戦略を選んだことで、ホンダは技術路線や開発の優先順位を自社判断で決められる反面、規模の経済性では不利になるリスクを抱える。特にEVや自動運転技術の競争で、日産との資本や人材、ノウハウの共有が得られなかったことは、短期的な開発スピードや効率に影響を及ぼす懸念がある。
研究所への開発回帰は、単独で戦う意志の表れとしても読み取れる。他社との協業によるスケールメリットに頼らず、独自の技術力や開発思想で競争力を形成しようとする姿勢だ。経営統合という外部の選択肢が消えたことで、内部資源と技術力に基づきリスクを取る覚悟を示す動きとも言える。統合交渉の不成立が、研究所への回帰という戦略を一段と後押ししたのは明らかだ。