「豪華なサービスエリア」が物流を破壊する? トラック難民を生む根本理由――利益至上主義の背後で消える大型車スペースとは
大型車の駐車不足

同じ空間を、異なる目的で使う主体が共存している。一般車は食事や買い物の満足度を求める一方、物流車は
「法定休息」
を確保する必要がある。ただ、一般車による長時間滞在が混雑の主因だと断定するのは正確ではない。京都大学の研究では、一般車の滞在時間は30分から1時間に集中しており、慢性的な駐車不足に直結しているとはいいにくいという。
実際に圧力がかかっているのは大型車である。高速道路調査会の資料によれば、東名高速上り線の東京方面区間では、大型車の駐車スペースが合計471台分不足していると試算される。海老名SAで68台、中井PAで52台、足柄SAで32台と、場所ごとの不足も明確だ。不足を悪化させているのは
「回転率の低下」
だ。同資料では、深夜帯を中心に8時間以上の長時間駐車が一定割合(約8~11%)存在し、この少数の車両が全体の時間占有の約6割前後を占めていることが示されている。つまり、台数の絶対数よりも、
「特定車両による長時間占有」
が問題の本質になっているのだ。
長時間化の理由は、法定休息だけに限られない。荷下ろし時間の調整や深夜割引の適用待ちなど、時間調整のための滞留が混ざっており、全体の約4割を占めると整理される。本来であれば物流企業が自社施設や荷主との交渉で負うべき待機コストを、公共の駐車スペースを
「事実上の無料待機場」
として使うことで外部に転嫁している構図だ。
さらに、物流の2024年問題が重なる。厚生労働省の改善基準告示の見直しにより、休憩や休息の確保は現場で厳格な制約となった。休まない選択肢がなくなる一方、受け皿となるインフラが物流側の非効率を吸収し続ける現状は、公共空間に過剰な負荷をかけている。
物流網を維持するためのコストが道路空間を占有することで社会化され、本来のインフラの機能が阻害される――こうした構造的な機能不全がここにはある。