「廃止予定を撤回します」 熊本市電、費用削減で全国ICカード維持――“高コスト”はもう言い訳にならないのか?

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全国交通系ICカードの更新コストが自治体を圧迫する中、熊本市電は費用を1.5億円に抑えつつ継続を決定。利用者の37%が懸念を示す声に応え、広島電鉄でもICOCA対応機器を改良。利便性とコスト削減の両立が現実味を帯びてきた。

機器の低価格化がもたらした転機

熊本市(画像:写真AC)
熊本市(画像:写真AC)

 全国交通系ICカードの利用を続けるといっても、高額な更新費用が熊本市の財政を圧迫するなら、実現は困難だっただろう。だが熊本市交通局と有識者会議が費用を洗い直したところ、全国交通系ICカードを維持したままでも

「更新コストを大きく下げられる」

ことが判明した。当初は約2億円と見込まれていた費用が、精査の結果1.5億円まで抑えられる見通しになったのだ。

 なぜ金額が変わったのか。熊本市交通局の公開資料にその理由が示されている(熊本市電における決済手段について-熊本市交通局)。

・機器構成を見直し、一部機器を安価なものへ変更
・機器構成見直しに伴う作業工数減少など

つまり、全国交通系ICカードの読み取り機器そのものが安くなってきているということだ。これは開発企業の努力の成果といえるだろう。

 似たような動きは広島県でも見られる。広島電鉄が導入した乗車決済システム「MOBIRY DAYS」は、地域交通系ICカード「PASPY」のサービス終了に伴って生まれたものだ。PASPYは巨額のシステム更新費用が重荷となり、サービスを終えざるを得なかった。

 ただし、MOBIRY DAYSはPASPYが果たしていた役割を完全には引き継いでいない。全国交通系ICカードに対応しておらず、障害者権利団体から改善を求める声も出ている。コストを削った分、利便性や包括性の面で課題が残っているのが現状だ。

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