「廃止予定を撤回します」 熊本市電、費用削減で全国ICカード維持――“高コスト”はもう言い訳にならないのか?

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全国交通系ICカードの更新コストが自治体を圧迫する中、熊本市電は費用を1.5億円に抑えつつ継続を決定。利用者の37%が懸念を示す声に応え、広島電鉄でもICOCA対応機器を改良。利便性とコスト削減の両立が現実味を帯びてきた。

利用者の声が動かした方針転換

熊本市役所前(画像:写真AC)
熊本市役所前(画像:写真AC)

 熊本市議会本会議の議事録は、熊本市の公式サイトで読める。大西市長はこう発言している。

「次に、熊本市電における決済手段の整備方針について御報告申し上げます。機器の更新に伴う決済手段につきましては、これまで市民や利用者の皆様からのアンケートなどで御意見をいただき、各会議の委員や市議会の皆様と議論を重ねてまいりました。その結果、本市では、現行ICカード決済機器の更新に当たり、市民や利用者の皆様にとっての利便性の向上とコストの適正化を総合的に判断し、全国交通系ICカードが利用可能な機器に更新することといたしました。今後も、熊本市民の安全性を最優先に利便性の高い公共交通機関を目指し、様々な取組を進めてまいります」(令和7年第4回定例会 熊本市議会 本会議-熊本市)

 ここで注目したいのは、市民や利用者の声を重く受け止めた点だ。熊本市交通局は2025年8~9月に、「熊本市電の決済手段として、全国交通系ICカードが廃止されると困るか」という設問でアンケートを実施している。外国人を除く有効回答数は2606人で、そのうち「とても困る」と答えた人は全体の37%だった。19~22歳の若年層に限ると、「とても困る」の割合は52.8%に跳ね上がる。

 大学生は経済的に余裕がないことが多く、クレジットカードの利用にはまだハードルがある。移動する際のキャッシュレス決済として、全国交通系ICカードの使い勝手が評価されているわけだ。そうした声がアンケート結果にはっきり表れている。

 また、熊本市電の乗務員88人を対象にしたアンケートでも、「全国交通系ICカードを継続して欲しいか」という問いに対して78.4%が「継続希望」と回答した。現場と利用者の双方が支持したことが、機器更新の判断を後押ししたかたちだ。

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