「ディーラーに行くのは気まずい」 中古輸入車ファンの本音を突く、オートバックスの新戦略――55万台割れの逆風下「一貫した信頼」の正体

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国内中古輸入車市場は2025年上半期、前年比1%減と微減傾向にある一方、総中古車は420万台と底堅く推移。高額化や情報不透明が参入障壁となるなか、オートバックスの専門店戦略が富裕層・愛好層の心理に応え、市場再編の可能性を示す。

富裕層の選択基準と輸入車市場の現在地

自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)
自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)

 国内の中古車市場が変化の渦中にある。新車販売の伸び悩みとは対照的に、中古車市場全体は堅調に推移しているものの、輸入車に限っては独自の停滞局面を迎えている。その一方で、輸入車を深く愛好し、その価値を理解する層は確実に存在し続けている。

 こうした輸入車を選ぶ層の心理を理解する上で興味深い指摘がある。税理士の森田貴子氏による書籍『億万長者になるお金の使い方』では、富裕層に共通する行動原理が紹介されている。SNSと適切な距離を置く生活習慣やアウトドア志向に加え、クルマ選びの視点にも明確な特徴があるという。

 森田氏によると、富裕層がクルマを選ぶ際の優先事項は、国産か輸入車かといった形式的な区分ではない。彼らが高級輸入車を選ぶ背景には、ブランドへの憧れや地位の誇示ではなく、生命の安全を最優先する

「危機管理の意識」

が働いている。万が一の事故の際、自分自身や家族を確実に守り抜く手段として、高い剛性や安全性能を備えた車両を選んでいるのだ。こうした判断は、ブランドイメージに依存した消費ではなく、何に最高の価値を置くべきかという問いに対する合理的な答えといえる。

 一方で、こうした実利を重視する層以外にも、欧州車を中心とした輸入車特有の走行性能や意匠に深い愛着を持つ層は根強く存在する。しかし国内の中古輸入車市場はここ数年、販売がわずかながら減少を続けているのが現状だ。

 中古車流通を担う各社は、変化する市場環境のなかでいかに購入意欲を刺激するかが問われている。本稿では市場停滞の背景にある構造的な課題を掘り下げ、新たな流通形態として台頭する専門店戦略の有効性を検証し、今後の市場の行方を展望する。

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