EVだけで「脱炭素」は可能なのか? マツダが挑む「エンジン車延命」――燃料・制度の壁を越える挑戦とは

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マツダが開発したCO2回収装置MMCCは、微細藻類由来燃料と組み合わせ走行中にCO2を吸着。国内2136万台のエンジン車市場に新たな脱炭素の選択肢を提示し、EV依存に揺さぶりをかける。

EVインフラ遅延と需要ギャップの拡大

実証実験車両に搭載されているCO2回収装置(車両後方下部より撮影)(画像:マツダ)
実証実験車両に搭載されているCO2回収装置(車両後方下部より撮影)(画像:マツダ)

 現行制度では、環境性能の評価基準が走行中の排出量に着目する

「タンク・トゥ・ホイール」

が中心であり、MMCCが持つCO2回収能力を評価に反映できない枠組みになっている。一方で、国内で流通するカーボンニュートラル燃料は4%程度にとどまる。税制や補助制度が整い、燃料供給が広く普及する環境が整わなければ、MMCCの量産化は見通せない。

 また、WLTPを含む国際的な燃費・排ガス規制は、MMCCのような動的なCO2吸着方式を前提としていない。制度が技術に追随するには時間がかかり、新技術の市場投入時には障害となる可能性がある。

 EVの課題として、充電速度の改善が頭打ちになりつつあり、送電設備の増強も遅れている。政府は2050年までに6~7兆円規模の送配電網投資を掲げているが、需要とのギャップは広がっている。加えて、EVは寒冷地で電費効率が落ちやすく、航続距離も短くなる。このため、一部ユーザーではEV離れが生じ、エンジン車の安定性を再評価する動きもある。

 MMCC搭載に必要な燃料供給体制が整えば、

・航続距離
・吸着性能

というふたつの軸で、EVとは異なる価値を提供できる可能性がある。

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