EVだけで「脱炭素」は可能なのか? マツダが挑む「エンジン車延命」――燃料・制度の壁を越える挑戦とは

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マツダが開発したCO2回収装置MMCCは、微細藻類由来燃料と組み合わせ走行中にCO2を吸着。国内2136万台のエンジン車市場に新たな脱炭素の選択肢を提示し、EV依存に揺さぶりをかける。

エンジン車再評価の潮流

マツダ・ビジョン クロスクーペ(画像:マツダ)
マツダ・ビジョン クロスクーペ(画像:マツダ)

 マツダは2025年11月17日、自社開発のCO2回収装置「マツダ・モバイル・カーボン・キャプチャー(MMCC)」の実証実験を開始したと公表した。MMCCはカーボンニュートラル燃料で走りながら、排出したCO2をその場で回収する技術であり、走行距離に応じて大気中のCO2を削減できる点が特徴だ。

 11月15~16日に開催されたスーパー耐久シリーズ第7戦では、レース車両「MAZDA SPIRIT RACING 3 Future concept(55号車)」にMMCCを初搭載した。燃料には欧州で実用化が進むバイオディーゼル燃料(HVO)を使用した。多孔質構造のゼオライトを使ったMMCCが、排出ガス中のCO2を吸着できることを確認した。

 このレースに先立ち、ジャパンモビリティショー2025でマツダは「走る歓びは、地球を笑顔にする」をテーマに掲げた。ビジョンモデルとして公開した「MAZDA VISION X-COUPE」は、「走るほどにCO2を減らす」将来像を示すモデルである。微細藻類由来のカーボンニュートラル燃料とMMCCの組み合わせが、このコンセプトを支える鍵と位置づけられている。

 脱炭素の主役は長らく電気自動車(EV)が担ってきたが、MMCCはその前提に揺さぶりをかける技術だ。エンジン車が代替可能なパワートレインとして存続する余地を生み、議論の軸を駆動方式から「燃料×装置の組み合わせ」へ移す可能性を示した。

 今回の実証が示した意味は技術的実現性だけではない。エンジン車を生かすという経済的インパクトも含んでいる。脱炭素の道筋はEVだけではなくなる可能性があり、MMCCがエンジン車を選択肢に戻す契機となり得る。

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