EVだけで「脱炭素」は可能なのか? マツダが挑む「エンジン車延命」――燃料・制度の壁を越える挑戦とは
マツダが開発したCO2回収装置MMCCは、微細藻類由来燃料と組み合わせ走行中にCO2を吸着。国内2136万台のエンジン車市場に新たな脱炭素の選択肢を提示し、EV依存に揺さぶりをかける。
エンジン車延命の構造的インパクト

MMCCの普及には、主に三つの転換点が条件となる。
まず、量産化により装置価格が低下し、EVよりもコスト面で優位になることが必要だ。次に、カーボンニュートラル燃料の供給比率が現在より大幅に向上し、合理的な選択肢として浮上すること。さらに、制度面でCO2吸着量の計測を環境評価基準に組み込むことが求められる。
これらの条件が整った段階で、MMCCの普及速度は一気に加速するだろう。自動車産業全体も、この分岐点を境にエンジン車延命の構造へ変化する可能性がある。
MMCCは構造的なインパクトを持ち、市場で置き去りになりつつあるエンジン車を、残存価値が認められる資産に転換する可能性を秘めている。脱炭素のEV一極依存を崩し、消費者の選択肢を複数化することで、市場の硬直性を和らげる効果も期待できる。
今後の焦点は、マツダが量産性と制度接続の課題を短期間で克服できるかにある。MMCCは終焉を迎えつつあるエンジン車を延命させる技術であり、その成否は脱炭素戦略に新たな選択肢をもたらすだけでなく、エンジン車を資産として有効活用する重要性を消費者に認識させる可能性も秘めている。マツダによるMMCC量産化の実現は、そう遠くない将来に訪れることが期待される。