なぜJAF出動の3割超が「バッテリー上がり」なのか?──73.5万件の“国民病”を支える小型機器の正体

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2023年、JAF出動理由の34.8%を占めた73.5万件の「バッテリー上がり」。この国民的トラブルに対し、近年注目されるのが「ジャンプスターター」だ。単独で対応でき、災害時も活躍するこの万能ツールは、なぜ2030年782億円市場へと成長するのか。その多機能性と経済効果に迫る。

「バッテリー上がり」の悩みを解消

ドライバーの悩みのひとつ「バッテリー上がり」(画像:写真AC)
ドライバーの悩みのひとつ「バッテリー上がり」(画像:写真AC)

 日本自動車連盟(JAF)のロードサービス出動理由を見ると、「バッテリー上がり」は常に上位に位置している。2023年度の四輪車における出動理由のトップは「過放電バッテリー」であり、件数は73万5194件。構成比は全体の約34.8%に達した。バッテリー上がりは、ドライバーにとって極めて身近で深刻なトラブルといえる。

 発生要因のひとつは、

・短距離走行を繰り返すドライバー
・月に数回しか車を使わないユーザー

に見られる「使用頻度の低さ」である。こうした使い方は、バッテリーへの負荷を高め、トラブルを招きやすくする。また、寒冷地では低温によってバッテリー性能が低下するため、冬季にリスクが高まる点も広く認識されている。

 従来は、バッテリーが上がった場合、ブースターケーブルを使い他車から電力を供給してもらう方法が一般的だった。しかし、交通量の少ない場所や深夜など、他車の協力が得られない場面では、この手段が現実的でないことも多い。

 こうした課題に対応する手段として、近年はジャンプスターターの導入が進んでいる。ジャンプスターターは、他車を必要とせず、単独でバッテリー上がりに対応できる点が特長だ。周囲に車がいない状況でも、ユーザー自身の手でエンジンを始動できる。その利便性の高さから、短距離利用が中心のドライバーや、車の使用頻度が低いユーザー、寒冷地での運転者を中心に常備が広がっている。

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