小仏トンネルの「慢性的渋滞」は解消できるのか? 相模湖東IC~八王子IC「年間23万時間」損失という現実

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中央道の慢性的渋滞を象徴してきた小仏トンネルで、交通量の季節変動は平日の1.2倍、速度は休日に通常の25%まで低下する。物流や観光に年間数十万時間規模の損失を生むこの構造的課題に対し、新小仏トンネルが本格的な解決策として動き始めた。流動性の回復が、沿道経済と首都圏交通の再設計を促す局面に入っている。

車線増設による移動時間安定化

山梨の人気観光スポット・昇仙峡(画像:都野塚也)
山梨の人気観光スポット・昇仙峡(画像:都野塚也)

 中央道の小仏トンネル以西は、観光事業を政策の柱とする地域が多い。そのため、特に土日は中央道を利用して観光地へ向かう人が増える。平日・休日だけでなく、季節によっても観光客数は変動する。

 2023年の山梨県の季節別観光入込客数を見ると、春(3月~5月)は約756万人、夏(6月~8月)は約711万人、秋(9月~11月)は約653万人、冬(1月~2月、12月)は約457万人となっている。春と夏は祭りや花火大会などのイベントが多く、秋はぶどうやももなどの果物が旬を迎えるため観光客が増える。一方、冬はイベントが少なく、気温も低いため入込客は減少する。

 従来、小仏トンネルでは観光ピーク時の流動人数が許容量を超えていた。新小仏トンネルの増設により、許容量は拡大する。新たな車線により、旅行速度が1割でも向上すれば、利用者は所要時間を予測しやすくなる。この移動時間の安定は、旅行スケジュールの立てやすさや旅行ストレスの軽減につながる。その結果、観光入込客や中央道の利用者数の増加が見込まれる。

 首都圏では時間価値に敏感である。次の電車が5分後に来る場合に、慌てて現在の電車に乗ろうとする人が多いのはわかりやすい例だ。所要時間が安定化すれば、首都圏から中央道を利用して地域へのアクセスが増えることが期待できる。これは、地域経済の活性化という日本経済の政策目標にも寄与する。

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