なぜ「移動するレストラン」に人は熱狂するのか? JR九州「ななつ星」から「レストランバス」まで広がる新市場とは
列車やバスでの食体験が、地域観光と地場産業を活性化している。JR九州「ななつ星」の数十倍競争率や、レストランバスの1万~2万円コースなど、移動と食を組み合わせた新たな経済圏の広がりに注目が集まる。
列車と食の地域経済

乗り物に乗り、流れる景色を眺めながら食事をする楽しさは独特である(乗り物酔いする人は除く)。日本でも古くから、舟上で酒食を楽しむ文化や、鉄道で地域ごとの駅弁を味わう文化が発展してきた。
近年では、
「モビリティと食を組み合わせた取り組み」
が、新たな観光や地域活性化の可能性を示している。
2013(平成25)年に登場した九州旅客鉄道(JR九州)のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」は大きな話題となった。クルーズトレインとは、豪華な鉄道旅を提供する周遊型の観光寝台列車である。沿線の食材を用いた贅沢な食事が魅力のひとつだ。チケットの入手倍率は
「数十倍」
に達するほどの人気を誇り、列車と地域の食の相乗効果が大きな注目を集めた。しかし費用は数十万円と高額で、一般消費者には手が出しにくい。