なぜ「移動するレストラン」に人は熱狂するのか? JR九州「ななつ星」から「レストランバス」まで広がる新市場とは
列車やバスでの食体験が、地域観光と地場産業を活性化している。JR九州「ななつ星」の数十倍競争率や、レストランバスの1万~2万円コースなど、移動と食を組み合わせた新たな経済圏の広がりに注目が集まる。
街を巡るレストラン体験

さらに注目されるのがレストランバスである。街全体をレストランに見立て、非日常空間での食体験を提供する。運行するのはWILLERグループだ。東京レストランバスの企画・運営はWILLER EXPRESS、レンタルはWILLER ACROSSが担当する。
天井を開放した高さ約3mの2階建てバスは、1階のキッチンから温かい料理を提供し、2階のレストラン空間でサービスする構造になっている。天井は観光の見どころでオープンにし、街の景観を楽しめる。
WILLERグループは、
・バスで新たな感動体験を提供したい
・移動することでエモーションが起きるサービスを作りたい
という思いからレストランバスを企画した。2016年から各地域の魅力を伝えるため、
「ここにしかない日本を食べよう」
をコンセプトに新潟、北海道、沖縄などで期間限定運行を実施した。2018年8月からは京都でレストランバス初の通年運行を開始した(京都レストランバスは2024年に終了)。東京レストランバスは2018年より運行している。
都内の観光スポットを巡りながらフレンチコースを楽しめるプランなどがある。特に人気なのは「川崎工場夜景レギュラープラン」である。料金はひとり1万6800円~、ふたり1万3800円~、3人1万2800円~、4名以上1万1800円~。所要時間は3時間半で、フレンチの本格コースを味わいながら、川崎工業地帯の幻想的な夜景を堪能できる。2022年に期間限定で運行開始したが、販売開始直後に完売が続出し、定期運行の要望が相次いだことから、2023年よりレギュラーコースとして運行している。