日本の電機メーカーはなぜ「物流子会社」を手放すのか? パナソニックHD物流部門の今後と自前主義の限界

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日の丸電機メーカー系列の物流子会社は再編が加速する。三菱電機ロジを572億円で買収したセイノーHDは売上7374億円へ増加。旧日立物流は9107億円で拡大し、パナソニックHDの物流部門もM&A標的の焦点となっている。

電機物流再編の波紋

パナソニックホールディングスのロゴ(画像:パナソニックホールディングス)
パナソニックホールディングスのロゴ(画像:パナソニックホールディングス)

 パナソニックホールディングス(HD)は、2026年4月1日から新たなグループ体制に移行すると7月30日に発表した。ただ今回のグループ再編では、系列物流子会社への言及はなかった。

 日の丸電機メーカー系列の物流子会社で直近の話題といえば、三菱電機の三菱電機ロジスティクス株式売却だ。2024年10月1日、三菱電機は同社株式をセイノーHDに572億円で売却した。なお三菱電機は、引き続き33.4%の株式を保有している。

 三菱電機ロジスティクスは、三菱電機の家電製品に加え、重量物や精密機器などの国内外輸送を手掛けてきた。特に重量物や精密機器の運搬では、電機メーカー子会社ならではのノウハウが蓄積されている。

 セイノーHDは、三菱電機ロジスティクスの買収により、輸送体制や物流拠点だけでなく、エレクトロニクス分野の物流も強化できた。セイノーHDの売上高(連結)は、2024年3月期の6428億円から2025年3月期は7374億円へ大幅に増加。今期はさらに8137億円を見込んでいる。

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