バブル期の若者は、なぜ無理して「クルマ」を買ったのか? 現代と真逆の消費を促した3つの要因とは

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バブル期の若者は初任給15万前後でも300万超のクルマをローンで購入した。低金利や社会的圧力、資産高騰の幻想が背景だ。現代は収入不安と交通環境の整備でクルマ離れが進み、都内Z世代の72.8%がその実感を持つ。

バブル期の無理購車

バブル期のイメージ。生成AIで作成。
バブル期のイメージ。生成AIで作成。

 1980年代後半から1990年代初頭のバブル期、若者は給与水準に大きな差がなかったにもかかわらず、無理をしてクルマを購入していた。なぜ、あれほど背伸びして手に入れようとしたのか。

 バブル期は日本で1986(昭和61)年12月から1991(平成3)年2月まで続いた。土地や株式などの資産価格が実体経済を超えて急騰した好景気である。異常な資産高騰と、その後の急激な下落をともなう現象から「バブル景気」と呼ばれた。

 背景にはいくつかの要因があった。まず、1985年のプラザ合意による円高で輸出産業が打撃を受けたことだ。次に、日本銀行は政策金利を2.5%まで引き下げ、低金利環境が長く続いた。さらに公共投資の拡大や税制改革によって可処分所得が増えたことも大きい。これらが低金利や資産効果と相まって、企業や個人は株式や不動産に資金を集中させた。特に「土地は必ず値上がりする」という信念が、不動産投資を加速させた。

 経済や社会への影響も大きかった。1989年末の日経平均株価は3万8957円に達し、東京圏の地価は数年間で倍増した。キャピタルゲインを得た企業や家計は消費や投資を活発化させ、銀行は土地や不動産を担保に巨額融資を行った。

 しかし、1990年代初頭、日本銀行が急激な金融引き締めを行うと株価と地価は急落した。不良債権が拡大し、経済は長期停滞期に入った。「失われた10年」と呼ばれる時代で、企業や家計の金融負債も増加した。

 総じて、バブル景気は実体経済を超えた資産価格の過剰上昇と、それにともなう投機的行動によって作り出された異常景気である。政策の失敗と心理的過熱が重なり、崩壊後には長期的な経済停滞をもたらした。

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