大阪・関西万博だけじゃない! 日本のモビリティを変えた「博覧会の経済学」―― 日本初の一般営業電車が「博覧会」で生まれたワケとは
2025年開催の大阪・関西万博は、日本の交通インフラ進化を象徴するイベントだ。過去の博覧会が、新型電車やモノレール、エスカレーターなど数々の交通革新を生み出した歴史を踏まえ、今回は乗用ドローン「eVTOL」など次世代技術を初披露。博覧会がもたらす革新が日常の足となる未来を示す。
AGTとリニモの定着路線

博覧会がきっかけで日本に初登場した鉄道は、電車(路面電車)だけではない。
例えば、日本初のモノレールは1928(昭和3)年に登場した。昭和天皇の即位礼を記念し、大阪・天王寺公園などで開かれた大礼奉祝交通電気博覧会のアトラクションとして設置されたものだった。当時は空中飛行電車と呼ばれていた。
一般営業用のモノレールが国内で誕生したのはそれから約30年後、1957年に開通した上野モノレール(2023年に廃止)である。
また、ゆりかもめのようにゴムタイヤで走る案内軌条式鉄道(AGT = オートガイドウェイトランジット)も、博覧会をきっかけに登場している。
日本初の一般営業新交通システムであるポートライナー(神戸新交通)は、1981年の神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア’81)に合わせて開業した。
さらに、日本初の一般営業リニアモーターカーであるリニモ(愛知高速交通東部丘陵線)は、2005(平成17)年の愛知万博(愛・地球博)の会場アクセス路線として登場した。
これら2路線はいずれも現在も営業を続けており、通勤・通学などに欠かせない地域の交通手段となっている。