大阪・関西万博だけじゃない! 日本のモビリティを変えた「博覧会の経済学」―― 日本初の一般営業電車が「博覧会」で生まれたワケとは
2025年開催の大阪・関西万博は、日本の交通インフラ進化を象徴するイベントだ。過去の博覧会が、新型電車やモノレール、エスカレーターなど数々の交通革新を生み出した歴史を踏まえ、今回は乗用ドローン「eVTOL」など次世代技術を初披露。博覧会がもたらす革新が日常の足となる未来を示す。
電車・モノレールも「博覧会が日本初上陸」

最初に述べたとおり、大阪・関西万博に合わせて、大阪メトロ中央線は延伸され、新型車両も導入された。博覧会には、こうした交通網の整備がつきものだ。
実は、日本初の一般営業電車も、博覧会へのアクセスを目的に生まれたものだった。
その電車とは、京都市内を走っていた路面電車「京都電気鉄道(京電)」である。京電が設立されたのは1894(明治27)年。翌1895年に京都・岡崎で、平安遷都1100年を記念した「第4回内国勧業博覧会」が開かれることを受けた動きだった。
京電の運行に必要な電力は、琵琶湖疎水を活用した日本初の営業用水力発電所「蹴上発電所」(1891年運転開始)から引かれた。博覧会の開幕にあわせ、伏見から官営鉄道の京都駅南側、そして京都駅北側から博覧会場のある岡崎までの路線が開通した。さらに同年末までに、府庁を経由して堀川方面へ至る路線も次々と整備された。
当時は、大阪方面から船で伏見に到着し、そこから電車に乗り換えて京都市内へ向かう人も多かったという。