大阪・関西万博だけじゃない! 日本のモビリティを変えた「博覧会の経済学」―― 日本初の一般営業電車が「博覧会」で生まれたワケとは
2025年開催の大阪・関西万博は、日本の交通インフラ進化を象徴するイベントだ。過去の博覧会が、新型電車やモノレール、エスカレーターなど数々の交通革新を生み出した歴史を踏まえ、今回は乗用ドローン「eVTOL」など次世代技術を初披露。博覧会がもたらす革新が日常の足となる未来を示す。
入場者113万人の経済波及

第4回内国勧業博覧会の入場者数は約113万人にのぼった。博覧会をきっかけに開業した京電は、1918(大正7)年に京都市電と合併。路線網の再編を経て、1970年代まで京都市民の足として活躍し続けた。
また、博覧会の目玉として建てられた平安神宮は、平安京大内裏の正庁・朝堂院を模したものだった。現在も京都を代表する神社のひとつである。ただし、本殿部分は1976(昭和51)年に活動家の爆破で全焼し、再建された建物は一部の規模や形が異なっている。博覧会の会場跡地は現在・岡崎公園となり、当時の門柱がモニュメントとして残されている。
ところで、日本初の一般営業電車は京都だったが、日本初の電車が走ったのは京都ではなかった。その登場もやはり博覧会がきっかけだった。
京電の開通から5年前、1890(明治23)年に東京・上野公園で開かれた第3回内国勧業博覧会。この博覧会のアトラクションのひとつとして、東京電燈(現在の東京電力)の手で電車が運行された。
ちなみに、このとき使われた日本初の電車車両は長らく保存されていたが、残念ながら東京大空襲によって焼失してしまった。