5.2兆円vs1.7兆円!北陸新幹線「米原ルート」で浮上する“第3の選択肢”はなぜ「新幹線より賢い」のか?
北陸新幹線の米原ルート採用で注目される小浜市の扱いに異議が唱えられている。かつて期待された「琵琶湖若狭湾快速鉄道」の中速鉄道化は、約20kmの新線整備で大阪~小浜間を最速1時間11分に短縮。乗り換え不要で新幹線案とほぼ同等の利便性を実現し、地域振興に現実的な代替策として再評価が必要だ。
中速鉄道化の費用負担
既存路線の中速鉄道化で課題となるのは、道路との完全な立体交差とホームドア設置などによる旅客の安全確保だ。湖西線は立体交差の条件を満たしているため、レールと架線の強化、ホームドアの設置だけで中速鉄道化が実現できる。この費用は、小浜ルート断念に伴う国の代替補償で賄うべきだ。
ただし、ホームドア設置には規定がある。線路に人や物が転落した場合、600m以内で停車しなければならない。そのため130km以上の速度運転にはホームドア設置が必要とされている。しかし、この運用には疑問が残る。海外ではホームドアなしで150km運転が普通に行われているからだ。
衝突物が600m以上離れていて、ブレーキが間に合わなければ停止できないのは当然だが、600m以内に迫っている段階で飛び込んでくるものは防げないという基準は何なのか。もし運転士が視認してブレーキ操作できる限界が600mなら、単に運転士の責任の範囲を決めているだけだ。システムとしては合理的とはいえない。
この点は中速鉄道の導入を検討する際に、見直しが必要な議論だろう。