なぜ「GT-R」は消滅したのか? 開発困難を超えた日本スポーツカー市場の「構造的病理」

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日産「GT-R」が56年の歴史に幕を下ろした。開発費高騰や販売低迷、SUV・EVへの資源集中により量産効果が得られず、スポーツカー市場は国内で2%未満に縮小。次世代技術を活かした復活の可否が、ブランド力と産業競争力を左右する。

GT-R消滅と市場構造

日産「GT-R」2025年モデル(画像:日産自動車)
日産「GT-R」2025年モデル(画像:日産自動車)

 2025年8月26日、日産「GT-R」の生産終了が報じられた。現行モデルは2007(平成19)年に登場し、18年の歴史に幕を下ろした。

 振り返れば、スカイライン2000GT-Rは1968(昭和43)年10月の第15回東京モーターショーで初披露され、翌1969年2月に「GT-R」として発売された。日産だけでなく、国産スポーツカーの象徴でもあったGT-Rは、56年の歴史を閉じることになる。

 初代ハコスカGT-Rから最後のR35GT-Rまでの歩みは、日本のスポーツカーの華やかな歴史そのものである。テレビでは「環境や安全規制の厳格化で開発コストが膨らんだこと」が生産終了の理由として報じられた。

 しかし、その背景には産業構造の変化、経営戦略の転換、消費者需要の変化、経済環境の影響も存在する。

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