5.2兆円vs1.7兆円!北陸新幹線「米原ルート」で浮上する“第3の選択肢”はなぜ「新幹線より賢い」のか?
普通10・特急4の輸送構想

琵琶湖若狭湾快速鉄道の整備概要については、建設促進期成同盟会のウェブサイトによると、JR湖西線・近江今津駅からJR小浜線・上中駅までの19.8kmで構想されていた。途中には、日置前、角川、熊川の3駅を設ける予定だったようだ。ただし、単線か複線かの記載は見当たらない。
運行計画では、新線内のみで完結する普通列車が1日10往復。大阪直通の快速が4往復、特急も4往復走る想定だった。この本数からして、おそらく単線での整備を前提にしていたと考えられる。ただし、資料に明記はされていない。
今回は、時速180km(秒速およそ50m)での運転を想定する中速鉄道方式を前提とする。したがって、運行に支障が出ないよう、複線での整備を基本に考えたい。そもそも、新幹線の代替措置として実施するなら、複線で整備するのが筋ではないか。
また、小浜線の上中~小浜間10.7kmについても、将来的に1時間あたり最大4往復の列車が行き交う可能性がある。この区間についても、あわせて複線化が望ましい。
さらに、湖西線の中速鉄道化が実現すれば、同線も時速180km運転が可能になる。この案は、かつて北陸新幹線の延伸にともない、湖西線の線路を改修して新幹線と接続させるという構想から着想を得ている。
当初は、フリーゲージトレインによる新幹線と湖西線の直通運転が検討されていた。その際、湖西線内の最高速度を現行の130kmから引き上げられないかという声や、線路幅を新幹線と同じ標準軌に改めて直通運転を可能にする案も出ていた。いずれも技術的課題が多かった。
その点、既存の線路幅や車両のまま速度を引き上げる中速鉄道化は、最も現実的な選択肢といえるだろう。新幹線は新幹線として別途整備しつつ、この中速鉄道構想を若狭地域の振興に役立てるというのが本案の狙いである。